ずっと見ていたからわかってた。
あいつが他の奴が好きなことも
あいつが俺を見ないことも
全部わかった上で、傷つけた。
≪Sequela≫
「好きだと言ったら、どうする」
後ろから抱きしめた華奢な身体がびくりと反応する。
ゆっくりと振り向いたは、とても切なそうな表情をして
小さく「嘘だよね?」とつぶやいた。
「本当じゃよ」
「だって、だって応援するって、言ってたじゃん」
「それも本心ナリ」
べえと舌を出してそう言うとの表情がもっと曇っていく。
いつだって相談相手だった俺。
いつだって、話を聞いていた俺。
幸せになってほしいと思いながらも
どこかでやっぱり、手に入れたくて。
「私、傷つけた…?」
今傷ついてるのは、お前じゃろ。
言いたい言葉を飲み込んで「さあな」と誤魔化す。
「ごめんね」
「別に謝る必要はないきに」
本当に、謝る必要なんてないんだ。
これは俺の我侭、自分勝手だ。
あいつしかお前を笑わせられないのなら
俺だけがお前を傷つけられればと
どこかで願って。
「傷ついたか」
泣いてるの頬をぬぐってそう笑う。
そんな俺に、はもっと涙を流す。
「だって、私、気持ち返せないし
同じこと丸井にされたら私、絶対辛いのに
それを、仁王に…」
泣きじゃくるに
俺はどこか、痛みを感じて
なぜかそれが、もっと欲しくなった。
「」
名前に反応して、俺を見上げるその顔に
俺は強く口付けた。
は何も言わなくて
ただ驚いた顔をして、ぐっと俺の胸を押し返す。
「ご、ごめん…」
顔もあげないまま、ただごめんと何度も謝って
そのままぱたぱたと教室から出て行った。
ぐっと残る胸の痛みに、思わず言葉がこぼれた。
「あぁ、わかった」
俺は、この痛みを望んでいた。
お前が俺を見ないなら
俺を植えつけて忘れなくなればいい。
お前が俺を見ないなら
俺を傷つけて忘れなくしてくれればいい。
この痛みもいつか悦びに変わるのなら
この愛を、この毒を
「これは、シビレるのう」
すべて飲み干してやる。

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